第11章 人生儀礼
やってみればわかります その大切さ
■[赤ちゃんの儀礼]
 1.安産祈願(あんざんきがん)と腹帯(はらおび)



腹帯の効果がいま見直されています。懐妊すると五ヶ月目の戌の日に、母体の健康と、赤ちゃんが月満ちて元気に誕生するようにとの願いを込め、神社で安産祈願を受け、腹帯を着けます。

「帯」を着けることから「帯祝い」とも「着帯の儀」ともいいます。この帯祝いの歴史は平安時代にさかのぼります。正式な腹帯は「岩田帯」といわれる、紅白の絹二筋と白木綿一筋を重ねたものです。

腹帯は、母体の保護安全のために懐妊五ヶ月の戌の日を選んでお腹に巻きます。戌の日を選ぶのは犬が安産であり、丈夫な子を産むとされ、それにあやかるためともいわれています。

腹部の保温や、胎児の位置を正常に保つための理にかなったもので、授かった新しい命に対する社会的な認知の儀礼でもあります。

神さまの思し召しで胎内に宿った胎児の健やかな発育を願い、帯び祝いをします。普通は木綿の腹帯で、長さは六尺ほど、あるいは縁起をかつぎ七尺三寸五分にします。

腹帯を着けることにより、子供が育ちすぎず、お産が軽く済むように願う日本固有の出産文化でもあります。

最近は伸縮性のあるコルセット式腹帯やガードル型腹帯を使用する人も見受けられます。

「安産祈願」は、夫婦を始め両家の両親が氏神さまへ詣で、懐妊を奉告し安産を祈願するのが一般的です。

遠方に住む子供夫婦のために、両親が、神社で祈願を受けた腹帯とお守りを送る事もあります。

五ヶ月目の戌の日を選び、ご祈祷を受けます。神社によっては腹帯を準備しているところもあります。

妊娠中には、食事と健康管理に留意し、身を慎み精神の安定を図ることが胎教にもよいのです。

葬式や火事に出会わないように気をつけますが、これは精神的ショックから母体がストレスホルモンを作り出し母体の血液が胎盤を経て、胎児の身体に影響するからだといわれています。

そのためにも、神社で受けたお守りを腹帯に巻き込んでおくのも大切なことです。

この時期は赤ちゃんにとって、非常に大切な時期であり、医学が発達した現代でも、出産は女性にとって命がけの大事です。

心安らかに、明るく健康で過ごせるよう本人も周囲の人も注意する必要があります。安産のためには様々な努力と、周囲の支えが必要となります。



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