第11章 人生儀礼
やってみればわかります その大切さ
■[大人の儀礼]
 3.厄年(やくどし)と厄祓い(やくばらい)



 厄年とは、災難に遭遇したり、病気にかかったり、事故にあうなど、身辺に不幸や災いが起きやすい年齢のことをいいます。

数え年で、男は十三歳、二十五歳、四十二歳、六十一歳。

女は十三歳、十九歳、三十三歳、三十七歳、六十一歳といわれ、特に男の四十二歳、女の三十三歳は「大厄」ともいわれています。

もともとは、中国から渡来した陰陽道(おんみょうどう)の影響によるもので、室町時代からは公家や武家社会で信じられ、近世になって民間に広がったものです。

四十二歳が「死に」三十三歳が「散々」と呼ぶなど、言葉遊びの要素もふくまれることから、この年齢が定着したのは江戸時代のことと考えられています。

厄年とは、私たちの祖先が永年にわたる営みを通して心と身体の調子が不安定になる年齢というものを体得し、我々子孫にまで伝えられてきた社会的慣習のことです。

 男女の十三歳は、昔なら一人前とみなされ、子どもから大人の入り口に差し掛かる頃であり、身体の調和がうまく取れない時期といえます。

女性の厄年からいえば、十九歳は思春期の心も身体も不安定な時期であり、また三十三歳といえば出産も一段落し、母体が変調をきたす時期といえます。

また、男性の厄年でいえば、二十五歳は社会に出て最初の試練にさらされる頃であり、四十二歳は働き盛りで知らず知らずの内に無理を重ねる年頃です。

そして男女の還暦である六十一歳は、定年を迎え社会の一線から退き、疲れの出る頃とされています。これらの厄年は医学的に見ても人の一生の心身の周期に合っており、理に適っているのです。

 厄祓いは数え年で行います。今は誕生日が来ると歳を重ねますが、古来より、お正月に年神さまをお迎えして、この一年の幸福をいただくのが年の始まりとされ、そのときに歳を取ると考えられていました。

したがって元旦から厄年に入りますので、お正月に厄祓いをするのが慣わしです。遅くとも節分までに行うのが一般的です。

 特に男性四十二歳、女性三十三歳は大厄といわれ、その前後の年を、前厄、後厄といい、前厄から三年間は神社で厄祓いのご祈祷を受けます。厄年の期間は「祈り」「慎み」の心を持って過ごすことが大切です。



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