第7章 先祖のまつり
 3.「神」と「ほとけ」



 民俗学の世界では、亡くなってから間がない人や、不慮の事故、異状死を遂げた人は「ほとけ」と呼ばれても決して「かみ」とは呼ばれません。

しかし、死の穢(けが)れの清まる期間を経て、(33年、地方によっては50年)弔(とむら)い上げを済ませた「ほとけ」は「かみ」となるのです。

「ほとけ」はひとの個性がまだ残っており、この世に未練がありますが、死者から個性が消え、祖霊として一括される神性を獲得すると無条件に子孫を包み込む神と昂(たかま)っていくのです。

 ここで重要なのは、人の御霊(みたま)は、歳月の経過によって、浄化されるとともに、家族をはじめ人々からの「まつり」を受けることによってさらに浄化と昇華をし、神格性を持つということです。

稲魂(いなだま)を育て、水を配り、子孫の生活を温かく見守る守護神・氏神となるのです。



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