第7章 先祖のまつり
 5.お彼岸やお盆はもともと神道の行事なの?



 仏教が日本へ伝来したのは六世紀半ば頃といわれていますが、この時に伝わってきた仏教は、インド発祥の本来の性格とは異なり、中国・朝鮮など経由してきた地域の影響を色濃く受けたものでした。

その後、我が国の神祇(じんぎ)信仰や祖先祭祀(さいし)の影響を受け、これを取り入れたために、仏教は日本の宗教の一つとして、広範に普及することができました。

「彼岸会(ひがんえ)」という言葉は、世界最古の小説ともいわれる「源氏物語」にも見られることから、かなり古くから行われてきた行事と思われますが、実は我が国での「先祖まつり」は、かなり以前から行われていました。

古事記・日本書紀にも皇祖(こうそ)の御霊(みたま)をまつった例が見られ、現在でも宮中では、歴代天皇(れきだいてんのう)の霊をまつる行事(春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)・秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)が厳粛に行われています。

 このようにお彼岸は、仏教渡来以前からの日本古来の祖霊信仰が深く根づいているのです。

「お彼岸」は、今日ではお墓参りをして先祖の供養(くよう)をする日とされています。

ところが、こうした行事の意味を知らずに、休日であるからといって結婚式を挙げたり、行楽に出かけたりする方を最近多く見受けますが、このようなことは慎まなければなりません。

春・秋の中日は、お墓参(はかまい)りをしてご先祖さまをお慰めし、感謝をする大切な日であることを忘れてはなりません。



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