第9章 四季の行事
 5.虫送り



 夏は稲や農作物の大事な生育期にあたり、害虫の発生や、風水害の被害にあう事も多々ありました。

昔は、稲作における虫の害は深刻でした。

農薬による害虫駆除が行われるようになるまでは、日本各地の農村で虫送りが盛んに行われていました。

この行事の対象となる虫は「ウンカ」が圧倒的に多く、被害が大きかった西日本各地では特にさかんに行われました。

時期は田植えが終わった5月土用の入りの頃、害虫が発生しやすい7月の頃などで、稲の生育の重要な時期でした。

村人たちがその地域の神社などに集まり神事を行った後、松明(たいまつ)を焚(た)き、鉦(かね)を鳴らし太鼓を叩き、大声で唱えごとをしながら幟(のぼり)を立てたりお神札(ふだ)を掲げて、行列を組んで水田を巡って稲についた虫を集め、村境まで送り出しました。

 農村では、害虫を鉦や太鼓などで追い払う虫送りの行事が行われ、都市部では疫病除けと悪霊退散を祈り、山車(だし)や屋台(やたい)・神輿(みこし)などが練り歩く祭りが盛大に行われ、ともに夏祭りの原形となりました。



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